解説
アミ族は、台湾東部に居住するインドネシア系先住民で、人口はおよそ15万人です。
今では、私たちと変わらない生活をしています。
このお話では、おばあさんの土地で狩りをした若者たちが、
おばあさんをだまして、獲物の首を一つしかあげていませんが、
土地の所有者には、獲れた獲物の首をあげなければならないという決まりがあります。
これは、土地を持っている人は、その地域に最初に来た人の子孫であって、
その土地の神様あるいはその土地が持つ呪術的な力と関係が深いからです。
土地の所有者は、もらった首を、この神様や呪術的な力への捧げ、感謝するのです。
若者たちがだましたのは、おばあさんではなく、神様だったので、
神様が罰として雨をふらせなかったのです。
このように、ある土地を最初に開拓した人に、土地の神様との深い関係を認める例は、
日本をはじめ世界各地に見られ、呪術的土地所有権と言われています。
このお話は、体の不自由な人や貧しい人を大切にするというテーマもありますが、
それ以上に、大地の持つ大きな力を人々に教えていると言えるでしょう。
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